ロンドンの朝は
例のごとく濃い霧から始まった。

そして私達の
例のごとく濃い旅が始まった。

二日目(London)

「腰が痛い、腰が痛い」

そう呻く両親を後目に、(エコノミーだからしょうがないよ)
私は来るべき定演で演奏するはずの「カルミナ・ブラーナ」をMDで聞きながらスティックを振り回していた。
このMDには、自分のお気に入りの曲と定演の曲が数曲。
後でこれがどんなに役に立ったことか・・・
まぁ、その話は後で。

コンチネンタル・和食・イングリッシュの三種類からセレクトできるホテルの朝食へ。
コンチネンタルを選び、それはもう死ぬほど食べまくる。(しかも美味しい)
パン二ヶ、ハム、ゆで玉子、丸ごとのトマト、シリアル、ヨーグルト・・・
お昼は、アフタヌーンティーですまそうという魂胆なのだ。
この時たらふく食べておいて本当に良かった、と後になって思う。
だって・・・

そして念願の大英博物館へ。
どうしてまた行きたかったのかには、二つの理由がある。
その1、広すぎて全部見切れていない
その2、前は工事中だったエジプトコーナーのロゼッタストーンを絶対みたい

アガサ・クリスティーの特集など興味深いものはいっぱいあったけれど、まずはエジプトコーナーへ。

見渡せば日本人。日本人。
作品の前を通り過ぎて行くだけの日本人。日本人。
旗を持ったお姉さんを先頭に何も見ずに歩いていく日本人。日本人。

いくらか不快な思いで日本人観光客をかき分け、ロゼッタストーンの前に立った。

ロゼッタストーン
ロゼッタストーンと私で奇妙な記念撮影

「ドンッ」

日本人のおばさんに押されて、写真を撮るや否や前から追い出された。
写真を撮るのに精一杯で、ほとんどホンモノを見ずに終わってしまった自分が、
すごく日本人らしくて、
たまらなく嫌になった。

大英博物館のお話はこれくらいにしよう。
詳しくはこちらで。

心ゆくまで世界の粋を満喫した私達は
アフタヌーン・ティーを求め街にくりだす。

しかし、なかなかいいところは見つからない。
ちょっと古ぼけたお店に飛び込んだ。

「あの、左の、そう、チョコレートケーキ、下さい。」

何だか嫌な予感がしたから無難なチョコレートケーキを頼んだ。
チョコレートケーキというモノはどう頑張っても死ぬほどまずくはできない。
父さんと母さんは得体の知れない白いケーキをオーダー。
(黒いケーキ:チョコレートケーキと白いケーキしかなかったのだ!)

ビンゴ!!

白いケーキは、甘すぎて死にそう。
チョコレートケーキは、なんとか食べれれるものの、甘い。
私のチョコレートケーキがどんどん奪われていく。
環境も悪かった。
後ろのテーブルでは、日本人の女性が二人で職が見つからないと愚痴をこぼし、
家族経営と思われる店員のおばあさんは意味の分からないことをぼそぼそと呟いていた。

朝、しっかり食べておいて本当に良かった。

口の中をむせそうな甘さで満たされたまま
ハリーポッターで有名になったキングズクロス駅へ向かう。

9と4分の3番線
9と4分の3番線

人々は意外というか思った通りというか・・・
クールに前を通り過ぎていく。
至る所にあるお土産屋はクールじゃなかったんだけどね。

夜は、愛介さん(ロンドン在住)とセッション@アイルランドについての打ち合わせ&夕食。

愛介さんの事務所は、素敵だった。
窓からはテムズ川。船が泊まっているのも見える。
こういう暮らしをしているヒトもいる。
日本に帰りたくなくなった。

打ち合わせ。
大体どんな曲をやるかを決める。
日本から持ってきたアイリッシュの楽譜をちょこちょこと練習、「赤とんぼ」などのチューンも練習した。
コード楽器がないので、愛介さんの仲間のギタリスト・シェーンも参加していただくことに決定。
愛介さんは、シェーンに電話でめちゃくちゃなことを言っていた。
「日本からすっごいミュージシャンが来てるんだよ。そう、ジャズフルーティストとリコーダーを吹く人。」

知らないぞ、もう・・・


夕食は、Ma goaというゴア料理の店にて。
ロンドンはインド系の料理がウマい。

さて、明日は待ちに待ったミュージカルを見に行く。
期待を胸に膨らませ、深い眠りについた。


 INDEX 

追記:小学校六年生の時のイギリス紀行はこちら。(母のページのもの)