*このレポートは、留学中決められたテーマについてレポートをするという奨学金プログラムのために書かれたものです。場所・人名などは伏せてあります。
No.5-School Life Part 2
イギリスに来てから、私の学校生活は言うまでもなく180度変わった。
けれども、どこが変わったのか?と言われるとあまりにも違いがたくさんすぎて答えられない。大きな変化から小さな変化まで・・・
今回は、どれだけ違うか?ある一日を例にして見ていこうと思う。今日は2004年3月22日月曜日。
月曜日は休み明けで頭がぼうっとするのは世界中どこにいても同じ。
8時45分、ホストファミリーとバイバイして学校へゆっくり歩いて向かう。 7時半に家を出て駅まで毎朝猛ダッシュしていたのが懐かしい。
朝の学校の前はにぎやかだ。生徒を乗せたスクールバスに、父兄の送りの車も続々と到着する。8時50分、「レジストレーション」が始まる。各自クラスへ行き、出席と連絡事項を確認。
私の教室には今日は5人の生徒だけ。本当は全員で16人のクラスのはずなのだけれど、いろいろな理由があってめったに全員そろうことはない。
だから、どのクラスになろうがあまり関係なくて、「来年クラス一緒になるといいね」なんて会話はまず発生しないし、
ある生徒なんかは自分のクラス名を覚えてさえいない。9時00分、ジリリリという大音響でベルが鳴り(しかも放送でなくてアナログ。学校には放送設備がない。)レジストレーション終了、一時限目が始まる。
ここでレジストレーションの教室から授業が行われる教室に向かうわけだけれど、これが結構大変だ。
11歳〜18歳の生徒約1000名がいっせいに狭い校舎の中を移動し始めるので、小学生か中学生くらいの生徒なんかはぶつかりあってケンカをはじめる。
さて、私の今日の一時限目の授業はMusic。が、今日は先生の都合でキャンセルだそうだ。ラッキー!フリーピリオドだ。
友達とおしゃべりをしにコモンルーム(16〜18歳が在籍するシックスス・フォームというセクションの生徒用ロビー)へ行くか、
宿題をやりにコンピュータールームへ向かうか、 それとも・・・結局音楽棟で空いているピアノを見つけたので、一時間ピアノを練習することにした。
ステイ先にピアノはないし、演奏の試験が数週間後に迫っているからだ。
プラクティスルームというこの小さな教室の窓からは学校のすぐ隣を流れる小川が見える。あ、ガチョウだ・・・なんてこともしばしば。10時00分、二時限目の授業開始。私の授業はまたまたMusicだけれど、今度は隣の学校へ移動。
私の学校は近隣2校と連携して授業を行っているので、学校間を行き来することは珍しくない。
今日の授業はマイルス・デイビスの'Move'というジャズの曲について。つい最近まではクラシックの曲についてやっていたのだけれど、
最近ジャズのユニットに入った。質疑応答や解説を織り交ぜつつ、先生が言うことをノートに書き取っていく。
「・・・AとBが32小節ごとで繰り返されているね。はい、これで今日の授業はお終い。あ、あと宿題。マイルス・デイビスについてのレポートを書いてきてください。」
あーぁ、宿題が出ちゃった・・・イギリスの学校は宿題が多い。10時55分から11時15分までは中休み。多くのお腹を空かせた生徒達が学食でサンドイッチ、ピザやドーナッツを買って食べる。
そういえば私もこの時間によく「早弁」なんて言って昼ごはんを半分食べてしまっていたっけ・・・11時15分、三時限目、English Language。国語、というよりか語学という感じの授業だ。今日は前回の授業に引き続き過去問解き。
ペーパーには全部でたった2題の問題しかないのに、私はそのうちの一問にもう4時間以上はかけているような気がする。
「次のスコットランドに住む12歳の男の子G・Mの二人と研究者MSの会話のテキストを読んで、語学上の点での特徴を論じなさい。」
・・・頭が痛くなるけれど書かなきゃ始まらない。気合入れて頑張るぞ。12時10分に午前の部が終わり。生徒は町へパンなどのお昼ごはんを買いに出たり、宿題をやったり。
私はホストファミリーがお昼ごはんを作ってくれるので一旦家に帰る。13時05分、午後の部がスタート。第二回目レジストレーション。13時15分、四時限目Computing。
初めての授業では、他の生徒はみんな男の子だし、意味のわからない専門用語が次々に出てきて恐怖に戦いたComputing。
日本の高校で「情報」の授業は10だったのに、私はこのクラスで劣等生だ。でもそれでもこれまでやってこれたのは、優しく見守ってくれてきた先生のおかげ。
今日は「コースワーク」と呼ばれるいわば卒業論文のようなプロジェクトの開始。
タイヤの問屋のシステムを作るという。まずは必要なデータの見極めから・・・自動車の登録番号、製造会社のID、名前、電話番号、タイヤのタイプコード etc・・・またまた頭が痛い。14時15分、15分の中休み。男の子達はコンピュータールームを飛び出し「コモンルーム」へ向かう。
私は引き続きコンピュータールームに居残ることにした。これはどう頑張っても追いつけなさそうなハードな課題・・・
スクリーンを見つめてう〜んと唸っていると先生が話しかけてきた。「ドビュッシーの曲では他になにが弾けるの?」
Computingの先生は音楽が大好きで、よく音楽の話をする。「月の光とかかな・・・」14時30分、最後の授業、五時限目、またComputing。引き続きコースワークに取り掛かる。
あるプログラミングの用語が思い出せなくて教室の戸棚から教科書を取り出した。イギリスの学校では教科書は個人持ちでなく学校持ちだ。15時30分学校が終わる。約1000人の生徒がいっせいにかけだすように学校の外へ。朝と同じように校舎前にはバスや車がずらりと並ぶ。
イギリスの学校には「部活」にあたるものがない。
サッカーチームやラグビーチームはあるけれど、教室でジャージに着替えて校庭へ飛び出す、のではなく、放課後近くのコートで集まってあくまでみんなで楽しむ、という感じだ。
月曜日、今日私は隣の学校でブラスバンドの練習がある。練習といっても、やっぱりお楽しみのような感じで練習時間は約一時間。
さまざまな曲をみんなで合わせる。私はパーカッションで参加。ちなみに、私はこのバンド大好きだ。
練習時間が少ないので技術的には未熟かもしれないけれど(でも信じられないくらいうまい人もちらほらいる)、なんといっても音色がとってもおおらかで豊か。
これはやっぱりみんなが楽しんでいる証拠なのだと思う。その昔吹奏楽部というところで「シゴかれた」経験がある私に、このバンドは初心を思い起こさせてくれた。16時30分、ブラスバンドの練習が終了。外はまだ明るい。こんな時、校庭で暗くなるまで汗をかいて部活をしていた日本の学校生活がちょっぴり恋しくなる。
けれども、宿題をやらなければいけないことを考えると・・・
さぁ、今日は早めに帰ろうか。
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