*このレポートは、留学中決められたテーマについてレポートをするという奨学金プログラムのために書かれたものです。場所・人名などは伏せてあります。
No.2-Hosttown
薬局、本屋、家電屋、服屋、スーパー、銀行、郵便局、美容室、劇場、パブ・・・
ここで一生暮らそうと思えば暮らせる。
バスターミナルや駅もあって、規模は小さいけれどとても便利なところだ。
― ただ、日本と違うのはここから。まず、全て建物はレンガ造り、ほとんど二階建て、街灯はオレンジでネオンサインは一切なし。
日本の無機質でビカビカした町並みにうんざりしていた私にとって、この町はまるで映画のセットのようだ。
町の広場にそびえたつ馬に乗った兵士の彫像や教会にいたっては、もう、芸術。観光ガイドにはbrisk historical market townと紹介されているこの町、毎週土・日には広場でフリーマーケットが開かれる。 納得。
では「店」はどうだろうか?
なんと、日曜日は休業、土曜日は午前のみ営業、平日は五時閉店!
コンビニなどの24時間営業にすっかり慣れていた私にとって、このことはかなり衝撃的だった。
以来買い物に行く前に、買い忘れのないようメモをとることにしている。実際、こちらの人はまとめ買いをする。それも信じられない量の・・・町の名前は「***ford」という。fordというのは川などの浅瀬を意味する単語なので、文字通りこの町には幾本かの川が流れている。
水質がどうかはわからない。でも、流れている川は本当に美しい。日本は川の両岸をコンクリートで固めてしまうけれど、ここの川はあるがままの姿でいる。
だから、川の水面が映し出すのは、緑と空だけだ。私が好きなのは、そんな川を公園の中でぼーっと眺めること。公園といっても、ブランコや砂場があるあの公園ではない。なんというか、別世界だ。
公園の中からは浮世のものが一切見えない。広すぎるからだ。いたるところによく手入れされた芝が広がり、ところどころには花壇もある。
川岸には何本もの木々、それら木々のまわりにはリスや鴨、白鳥が集まる。
この公園がぜいたくなのはその広さや美しさだけではない。
なんと、幼児用アスレチック、スケートボードなどのエックストレイルスポーツの練習台、ネットボールコート、
更には複数の芝のフットボールコートまで兼ね備えている。
感激して、「この公園は本当に素敵だね」と言うと、友達は「なぜ?」と聞いてきた。
「私は日本でサッカー部に入っていたけれど、毎日のように芝でサッカーしてみたいねって友達と言っていたんだよ。」
この町は、ニューヨークや東京の様に刺激的ではない。
もし私の友達がこの町に来たら、正直気に入ってもらえるかどうか自信がない。
かわいい服屋は数えるほどで、楽器屋もゲーセンもない。
でも、私はこの町が好きだ。
この町に到着した時、なぜだかわからない、私がまず感じたのは、
「やっと帰ってきた」
だった。
[No.1-Host family] < [INDEX] > [No.3-School Life Part 1]