Act4.
大ニュース!
「こ、コンクール、ですか?」
なんと、幸いなことにコンクールに出してもらえることになったのだ。
「よ、よろしいんでしょうか?あの、まだ全然技術とか・・・。」
「大丈夫、大丈夫。簡単だから。」
「あ、ありがとうございます!」
うれしさのあまり思わず、にやーっと笑ってしまった。
自由曲で人数が足りないため出させてもらえるのだ。
全人数70余人という我が吹奏楽部でコンクールに出させてもらえるというのはかなりのことである。
楽器は、グロッケンかシンバル&小物(マラカス、トライアングル)だ。
シンバルは、出だしから派手にジャーンとやるところが印象的だ。腕力がないと辛そう。
グロッケンは、シンバルに比べ目立ちはしないが、多少のテクニックが必要だ。
どちらもかっこいい。
「どうするー?」Eさんに聞いてみた。彼女の答えは、「どっちでもいいよ。」
そんなばなな。いや、内心グロッケンがいいのだろう。
なにしろEさんは小柄!腕なんか私の十分の一くらい。足も細い!
けれども、Eさんはひょうひょうとした表情でカッカッカと笑っている。本当にどっちでもいいみたい・・・。
「いやぁどうする?私もどっちでもいいんだけど。」
「じゃーじゃんけんね。」
「ちょっとまった。じゃんけんだけはやめておくれ。」
「せ、先輩!す、すみません。」
こんな感じで楽器が決まるには、3日間もかかってしまった。
それでやーっと決まった私の楽器は・・・
グロッケンだった。
Eさんはシンバル・・・。大丈夫かなぁ。あの細い腕で。
先輩も心配なようだ。皆の心配をよそにEさんは、ひょいとシンバルを取り練習し始めた。
全然大丈夫そうだ。見かけによらぬ力の持ち主だった。
「さ、私も練習しよ!」