私が強く感じた日本とのモラルの相違は、子供達を守る意識の違いでした。
カナダは日本と違って、18歳で選挙権が持てます。
選挙権を持つ、っと言う事は一人前の大人への仲間入りを表し、親達の擁護の枠から飛び出し、
何でも自由に行動が出来る事の代償として、己の行動に重い責任がかかって来る事です。
其の所為かどうかわかりませんが、親の援助を受けず、自分で学費を稼いでいる大学生が
沢山いました。
一方、それ未満の子供たちは、当然、国や親達が守ってやる義務があるのです。
日本同様、タバコやアルコールは子供達に売却する事を禁止されていますが、
違法するとそのお店の免許を剥奪されます。 また、アルコールは、年齢に関係なく、全ての人
(観光客と言えど、カナダに滞在している期間)は、車の中や、公園・キャンパス等の公共の場所
で飲む事は違法です。
それ故、ピクニックや屋外レクレーション時、公園や海岸等でアルコールを飲むと捕まります。
以前、私が習っていたテニスコーチのテレサがテニスの大会“パンパシフィク・トーナメント”
に出場する為、初めて日本を訪れた際、“自動販売機でビールが売られているのを見て、凄く驚いた!”
っと語ってくれたのを思い出しました。
カナダは、日本で言う酒屋‘Liquor Store’は国が経営するお店で、青少年への販売、管理は
とても厳しく行われていました。

余談ですが、此処でカナダ産ウイスキーの紹介!


左から、日本でも人気のCrown Royal, Canadaian Culb(CCで有名),Canadian Mist, 
Black Velvet, Tangle Ridge, SeagramsVO, Lord Calvert


世界五大ウイスキーの中では最もソフト・タイプと言われているカナディアンウイスキー
(スコッチ、アイリッシュ、アメリカン、カナディアン、そして我がジャパニーズウイスキー)
お酒好きの私は、当時、カナダ産のウイスキーにこだわり(だって、カナダにいるのだから)、
‘Liquor Store’で全てのカナディアンウイスキー(最小のサイズ)を購入し、
試飲を繰り返し、恥ずかしながら、自分好みの一本を見つける努力をしていました。
今では、ウイスキーと言えば、やはりスコッチを指してしまいますが、カナダのウイスキーも、
まろやか(カナダ人のように温厚で癖が無い?)で優しいあたりがとても飲みやすかったと思います。
ちなみに言えば、私のお気に入りは
Black Velvetでした。

話をカナダと日本のモラルの相違に戻して、12歳以下の子供だけでの留守番や、 車の中に幼児
を置き去りにするとその親は逮捕されます。
学校の送り迎えも(バス通学以外の学校の場合) 親の責任でしなければならなく、出来なければ、
親戚・友人あるいはシッターを雇ってなされなければなりません。
日本の様に、昨日まで幼稚園児だった子供が、乗換えで地下鉄に乗り、一人で一時間程度の通学を
している姿は、全く信じ難いものです。

処で、帰国当時最初に感じたことは、“ナンテ日本のテレビは面白いのでしょう!”でした。
確かに、英語と違って全ての言葉が分かるので、うれしくて、楽しくて、一日中テレビを見ていました。
しかし、暫くすると、その番組のつまらなさや単純さに飽きが来て、その番組の下品さや下劣さに眉を
しかめてしまったのです。
その上其処には、凶暴で残酷、そして卑猥な言葉やシーンが溢れかえっているではありませんか!
これ等の情報をまだ、物の価値観や道徳観の見極めが出来ない子供たちが、何のプロテクションも無く
見ているのですから、全くの驚きです。
カナダやアメリカのテレビ番組(オプションのケーブルテレビ以外)では、子供に見せられない様な
残酷で凶暴なシーンやエロチックなシーンのある番組は上映禁止か、上映されてもその放送時間は遅く、
親の監督の下で見るようにっと必ず、警告のテロップが入ります。
(だからっと言ってそうするかどうかは別問題ですが?)
また、女性の裸の胸等の映っているシーンはぼかしが入り、バイオレンスでハードなシーンはカットされ、
不適切なせりふには必ずビープが入って 聞こえなくする、、、、
っといった風に、その規制はとても厳しかった様です。

最近、同級生を“むかつく”からと言って簡単に殺害したり、抵抗の出来ない幼い子供を、何の感情も無く
冷酷にビルの屋上から突き落としたり、、っと、 命の尊さを軽んじている子供が増えているようです。
また、殺戮や戦争の生々しい画像で遊ぶゲームに、沢山の子供たちが夢中になっています。
私には、何故、そんなゲームを制作して売るのか、また、それを販売する事を国が許しているのか
理解できません。
“少子化がこのまま進むと国が滅びるから、兎に角、産めや増やせ!”
と政治家たちが無責任にのたまう前に、まず今の子供たちを、心健やかに育てる環境を作る事の方が
大切では無いかと、私は彼等に苦言を呈したいです。
さもなければ、自分が犯した非常で異常な行為を 理解できない化け物が、ますます生まれて来る事に
なるでしょう。
国の豊かさとは、経済力で評価されるのではなく、如何に国民一人ひとりの幸せを、国が提供し、
そして、それを尊重し保護する事が出来るかだと思います。
特に未来を担う子供たちを大切に考えている国が、今後も豊かな国として発展して行けるのでしょう。

Episode9
Essay Index
Episode10
子供達は誰が守る?