Essay Index
Episode9
Daniel Part1
当初、Danielと私は、CDを共同制作しようと思いを馳せらせていたのですが、
20歳も違うジェネレーションギャップと夫々の自己主張が強すぎる理由で、
夢のコーポレーションのCDは幻となってしまいましたが、
私がイメージしている楽曲 “Galapagos Islands”作りには、彼の手助けがなければ始まりません。
最初、私がアレンジした曲にDanielがリズムを付けてくれる、 っと言った作業で進める予定でしたが、
2曲程完成した後、Danielの学生と言う本業が忙しかったり、 彼自身の音楽の制作で私の為に時間
を裂く事が徐々に難しくなって来て、 仕方なく自分自身で苦手のリズムアレンジに挑戦する事となったのです。

しかし、そうこうしている内に、頼りにしていたDanielは日本へ語学留学に行ってしまったのでした。
初めは一年間の予定でしたが、エネルギーと好奇心の旺盛な若者であるDanielにとって、
平和でちょっと退屈なバンクーバーと違い、東京は可なり刺激的な街だったのか、
其の滞在はさらに一年延びる事になってしまいました。
一方、私はと言えば、嘆かわしい事にその間、側で発破を掛けてくれる人も居なく、
テニスやゴルフと他の趣味に興じて、作曲の方は疎かになっていました。

“Galapagos Islands”のアルバムの最初の曲“Abandon Islands”を作曲したのが1993年の終わり、
それから5年の歳月が流れ、私たちの日本帰国の話がそろそろ具体的になって来た1998年の初頭、
バンクーバーでMade In CanadaのオリジナルCDを作りたいと言う思いが、
再びメラメラと湧き上がって来たのでした。
幸運にも丁度其の頃、Danielは二年間の留学を終え、バンクーバーに戻って来ていたのです。

予定していた10曲は仕上がってはいたのでしたが、アレンジや音色の手直し、サウンドやエフェクト
のバランス等と、煩雑で時間のかかる大変な作業が残されており、
Danielに委託しなければならない仕事が沢山ありました。
其の上、CDジャケットのデザインと曲の説明等が書かれているブックレットの作成や解説書等々、
音楽以外でも、やらなければならない事は膨大です。
しかも、そのCDを作ってくれる会社を、私自身で探さなければならないのですから、、、、。
友人の紹介やイエローページ等で調べて、数件の制作会社を訪ねて歩き、良さそうな会社を選んだものの、
担当者からの説明によると、マスタリングテープの制作は其処でしてはもらえず、また、
CD ジャケットのデザインに使う画像のモード指定(CMYK指定)やフォント規定(日本語のフォントは
バンクーバー には存在し無かった)等と、聞いた事もない単語が次から次へと飛び交い、
頭を抱えてしまいました。
専門知識も無い上、英語が不慣れな私を見るに見かねて、其の担当者は、CDを制作するには
何が必要なのかを、優しく丁寧に説明してくれたのです。
何が必要なのかを理解できても、私一人の力では、それらを手に入れるのは無理です。
やはり、ここでもDanielの手助けが必要になります。
当時の詳しい事は、余りの忙しさで良く覚えてはいませんが、スタジオや印刷会社等に、
二人で出かけて行って、制作に必要な素材であるマスタリングテープやブックレト用のネガを整えたのでした。
二人の努力の甲斐あって、待望のオリジナルCDが完成した時には、正に涙が出るほど感動しました。


     
         
CDが完成した日、DanielとMarkと喜びを味わう。

この様に、私のCDはDanielがいなければ、決して完成はしなかったのです。
真の意味で、二人の共同制作だったかも知れません。
おそらくそれは、私の人生で唯一のオリジナルCDだろうと思いますが、この素敵なバンクーバー生活での
思い出が沢山詰まったCD(何故かタイトルは“Galapagos Islands” ? ? )、
たとえそれが他人にとって陳腐で稚拙なCDであろうとも、私には掛け替えの無い宝物、
その宝物をこの様にして残せる幸せを心から感じる事が出来る、そして、
その幸せをもたらしてくれた Danielに、言葉では言い尽くせない程感謝の気持ちでいっぱいです。
Mon Ami! Daniel! Merci Beaucoup!!
Original CD
Galapagos Islands’s Songs