Band紹介
チャックと出会った翌日から、早速、私はバンドアレンジに取り掛かりました。
曲は学生時代コンサートの為、コンボ用に(トランペット1本+サックス1本+トロ
ンボーン1本)アレンジした曲 “Yearnin’” をビッグバンド用に新たにアレンジし
直す作業でした。
通常、Jazz Big Band は4本のトランペット+4本のトロンボーン+2本のアルト
サックス+2本のテナーサックス+1本のバリトンサックス、そして、4リズム
(ピアノ、ギター、ベース、ドラムス)の17人から編成されています。
コンピューターの音楽ソフトが無ければ、 とてもこれだけの音のアレンジは、
素人の私では出来ません。チャックから“気楽に遊びにおいで!” と誘れても、
実力と自信の無い私には、とても手ぶらでは行けません。

1ヶ月間、試行錯誤を重ねながら、寝る間も惜しむほど夢中になって完成させた
稚拙なアレンジを引き下げ、ついに私は、敵陣へ乗り込んで行ったのでした。
(恐さのあまり身震いする程と言う意味で、、、)
バンドの名前は、“Jazz Connexion” 20名ほどの白人達のメンバーで構成された、
プロが数名参加しているアマチュアバンドで、2〜3名の女性の顔も窺えました。
メンバーの殆どが、学生時代ブラスバンドで演奏していたジャズ好きな人たちです。

異色の私が突然、そのバンドに現れたのですから、彼等がシニカルな
好奇の目で私を見るのは当然です。
オドオドしている私を、チャックがコンサートマスターであるロブに
紹介してくれました。
“はじめまして!見学させてください!”
“OK!”
このシリアスな雰囲気じゃ、私の曲を演奏してください!
とは、初っ端からはとても言えません!
“良かったらピアノを弾いてみて!”
“いや!無理です!”
こんなやり取りがあって、直ぐ彼らの練習が始まってしまいました。

練習場は現地の高校の音楽室を借りているので、Jazzバンドに与え
られている時間は一時間半だけ!
無駄話をする時間は無いのです。
と言うのも、練習が終われば、また直ぐ次のバンドが使用する事
になっていました。
最初、椅子に座って彼らの演奏を聴いていた私は、一緒に演奏がした
い衝動を抑え切れずに、とうとうピアノを弾いてしまいました。
練習を終え、バンドと一緒に演奏が出来た嬉しさのあまり高揚してい
る私にロブは、
“来週も来るでしょう?”
と聞いて来たのです。
“正式なピア二ストが見つかるまでの代役でなら、、、、
よろしくお願いします。”
と、答えた私。


バンクーバー物語
Jazz Connexion
結局、
私が帰国するまで正式なピア二ストは見つからなかったのですが、、、。

練習が終わって、後片付けしている処にロブがやって来たので、
これ見よがしに、
“実は、バンドの為の曲を持って来たのですが、、、、、”
と、彼の前に譜面を差し出すと、
“それは凄い!じゃ来週、一緒にやろう!”
と、言ってくれました。
この様に心優しいロブが居てくれなければ、私の夢が決して実現しなかった
事は、疑いも無い事実です。

これが、私のバンドデビューの顛末です。
Part 3 に続く
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http://www.northshorebands.com/
Bandのホームページです。Pictures をクリックすると
現在の彼らの姿が見れます。
English Version of Jazz Big Band #2