MRワクチン

麻しん・風しん混合ワクチンは極めて大切な予防接種

言うまでもなく、麻しん(はしか)は大変恐ろしい病気です。そして風しんは妊婦に感染したら赤ちゃんに障害をもたらすことがある病気です。どちらも流行して大騒ぎになったことは皆さんも記憶に新しいと思います。単純なことですが、皆がこのワクチンを接種してさえくれれば、社会での流行はなくなります。効果も極めて高いワクチンです。乳児のときに安心して過ごせたのは、上の年齢の人がMRワクチンを受けてくれたからです。1歳のお誕生日を迎えたら、皆に守られていたことに感謝して、迷わずMRワクチンを接種しましょう。

接種スケジュール



1期、2期の2回の接種です。1期は1歳のお誕生日を迎えたらできるだけ早く接種します。2期は年長組の4月~3月の1年間です。4月になったらすぐにと急ぐ必要はありませんが、忘れずに接種してください。MRワクチンは大変重要なので、大学進学などのときにもチェックされることがあり、忘れていると自費で接種しないとならなくなります。

副作用

接種後1週間くらいで熱が出る子が5~20%くらいいる言われていますので、そのように説明してはいますが、実際にはもっと少ないように思います。ただ、熱がでたときに危険というのではなく、そういうこともあるとわかっていればかえって安心です。

卵アレルギーとMRワクチン

MRワクチンは鶏卵の胚細胞を使って培養しているため、卵アレルギーの人は接種を見合わせた方がよいと考えられていた頃がありました。しかし、卵の成分は極めて微量で、アレルギー反応を起こす可能性はほとんどありません。ただ、卵でアナフィラキシー反応を起こした既往のある人は、いきなりは接種できません。事前に受診して相談をしてください。血液検査が陽性であっても、少し卵成分の含まれている食品を食べて問題のなかった子は、まず問題ないですが、心配なときはやはり事前に相談をしてもらえると良いと思います。

乳児のMRワクチン

2019年現在の普通の状況下では、通常は乳児に麻しんの免疫を与えるためにMRワクチンを接種する必要性は大きくはありません。しかし、時々外国帰りの日本人や外国人旅行者などが麻しんを国内に持ち込んで問題になります。麻しんの患者さんがいる地域に行くような場合、ご希望があれば、生後6ヶ月以上の乳児を対象にして、MRワクチン(麻しん単独ワクチンはほとんど流通していません)の接種をしています。ただし、乳児期は抗体を獲得する能力が低いので、定期接種の時期にはあらためて接種が必要になります。タイミングについては接種時に医師にご相談ください。
なお、定期接種ではないので、健康被害がおきたときの補償は通常の薬の副作用が起きた場合と同じになります。
当院では乳児を麻しんから守るための対策として、1歳になったらすぐにMRワクチンをするように強く求めていますし、病児保育室では1歳2ヶ月以上でMRワクチンを接種していない子の利用は一切お断りしていますので、ワクチンをしない方針のご家庭のお子さんの来院は極めて稀ですが、保育園などはワクチン忌避のお子さんでも預からないといけないジレンマをかかえており、全く安全というわけではありません。ご心配な方はどうぞ十分ご理解の上、生後6ヶ月以上でのMRワクチン接種をお受けください。なお、任意接種なので有料になりますことをご了承ください。なお、流行期などで自費用のMRワクチンの入手が困難な場合は、専ら当院で予防接種を受けている赤ちゃんを優先させていただきますので、ご了承ください。