Act8.

4つの地獄


コンクールも終わり、ホッと一息。
かと思ったら待ち受けていたのは・・・

「もうダメだぁー。」
思わず情けない声を出してしまった。
額からは滝のような汗があふれ出し、足は棒になっている。

地獄その1:「筋トレ地獄」

吹奏楽部は、毎年筋トレを行うらしい。
学校のまわりを三周、腹筋、腕立て伏せ、背筋、足あげ・・・。
パートによって量が異なるが、みんなキツイのは同じ。
幸い、パーカッションは腹筋や背筋を使わないので、比較的量が少なめである。
パーカッションになって良かったと、改めて思い直してしまうのだった。
それにしても、吹奏楽部は体育会系に入れるべきだと思う今日この頃。

地獄その2:「舞台地獄」

これは、嬉しい地獄である。
小学校まわり、中学校ブラスバンドの祭典、フェスティバル、夏祭りでの演奏等・・・
小学校まわりではお世話になった先生方に会えたし、音楽祭では同年代のブラスバンドの仲間と知り合うことが出来た。
プログラムの組み方やステージマナーなどの吹奏楽に於いての多くの知識も得た。
そして、この地獄には2つの地獄がついてくる。

ペダルティンパニーの運び方

地獄その3:「新譜地獄」

度重なる演奏会のための曲の楽譜が毎日のように配られた。
配られる度に、胸がドキドキした。
次はどんな素敵な曲に出会えるのだろう?
どんな楽器を演奏するのだろう?
毎日が楽しみでしょうがなかった。
しかし、楽あれば苦ありという言葉の通り・・・

地獄その4:「楽器運び地獄」

パーカッションという楽器になったからには、逃れられぬ運命。
梱包作業から始まり、音楽室のある4階から1階までの運搬、トラックへの搬入、演奏、片づけに終わる。
この一連の作業に使うエネルギーといったら、ハンパなものじゃあない。
ある時は、楽器が重すぎて腰を抜かしたこともある。怪我なんて日常茶飯事だ。
慣れていないせいか、私の作業スピードは遅い。
それに比べ、先輩達の速いこと、速いこと。
負けじと頑張るが、追いつかない。
そんなとき、私の頭にはある一つの式が浮かぶ。

追いつかない=体力不足、根性が足りない=筋トレをもっとしなさい

「筋トレ」をやる意味など考えずに反発していたけれど、なんだか納得した。
4つの地獄は、私を大きく成長させてくれた。


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