Act1.
吹奏楽部
中学校に入学して、いくらか生活が落ち着いてきた頃
いよいよ仮入部の季節がやってきた。
私は、小学校の頃から部活は、もちろん帰宅部にするつもりだった。
忙しい私には、とても部活なんて無理だろうと思ったから。
「音楽好きなんでしょ?吹奏楽部入れば?」
なんて友達からいわれたけど、絶対入る気になれなかった。
吹奏楽というのが、どうも苦手だったのだ。
ブビビビー!!
あの金管楽器の音が嫌いだった。
あんなのを放課後ずっと聞いていなくちゃならないかと思うと、
背筋がゾッとした。
父がフルートを吹いている関係で家にフルートがあるという
もってこいの恵まれた環境だったのに。
それでも入りたくなかった。
でも、仮入部する部活がなかった。
しょうがないから、なんか入っとかないとだらだら人間になりそうだから
とりあえず吹奏楽部に仮入部することにした。
父は、喜んでフルートの手ほどきを私にしてくれた。
これがやってみると、すっごいおもしろくて。
いつのまにか、もう自分で吹奏楽部に本入部すると決め込んでいた。
もちろん希望の楽器はフルート。
吹奏楽部の先輩達は、私達に色んなおもしろい曲をたくさん演奏してくれた。
ロッキーのテーマ、バックドラフト、エルクバンチェロ・・・。
どれもこれもうまくて感動した。
というわけで、私は吹奏楽部に本入部した。
私を仮入部に誘った友達は、練習日数のすごさに驚いたのか入部を取りやめてしまい、
なんだかんだで、私の小学校出身で吹奏楽部に本入部したのは私一人だけとなってしまった。
これからどんな部活生活、いや、中学校生活が始まるのだろう。