B型肝炎ワクチン

B型肝炎にかかったときの自然経過

B型肝炎ワクチン接種の目的をお話しする前に、B型肝炎に感染後の自然経過を説明すると、それは下図のようになります。

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B型肝炎は、かかっても一過性で無症状のこともあり、自然に治癒することもあるのですが、一方で、肝臓がんの原因として大きな位置を占めています。他のワクチンと異なり、感染後の長期的な経過を知った上で、その価値を判断していただきたいと思うので、このような図を掲載いたしました。

ワクチンの目的

B型肝炎は、血液や体液を通じて感染しますので、母親がキャリアである場合を除き、従来(2000年ぐらいまで)は、特に乳児期や小児期に急ぐ予防接種ではないと考えられてきました。
しかし、これは間違いでした。父子感染もあり、家庭内にキャリアがいる場合は注意しなくてはならないことが次第に明らかになってきました。また、保育園などにキャリアがいても、個人情報保護法の壁があるので公開されませんから、いるともいないともわかりません。保育園での園児の他児への噛みつきなどの可能性も考えると、やはり早期に接種しておいたほうが良いと思います。
また、3歳未満では、3歳以上に比べ、より慢性化(キャリア化)することが多いので、噛みつきなどが心配な年齢になってからというよりは、早期に接種したほうが良いワクチンです。他の一部のワクチンは乳児期に接種してもワクチンのつき(take)が悪いから1歳になってからのほうが良いという説明がありますが、B型肝炎の場合は逆で、乳児期のワクチンのつき(take)は良好です。
また、上図で示すように、「B型肝炎の予防とともに将来にかかるかもしれない肝臓がん予防」という意味で、重要なワクチンです。
ひとつの比較としてですが、最近導入された「ロタワクチン」よりも、「B型肝炎ワクチン」のほうが、重要性は上になります。
そのため、2016年10月から定期接種化されました。

定期接種の接種スケジュール

通常は生後2ヶ月から接種します。下図のように、2回目は1回目から4週間以上あけて接種します。
3回目については、大変わかりにくいのですが、2回目から3回目までの間隔についての規定はなく、1回目から3回目の間隔で規定されています。1回目から139日の間をあけて3回目の接種ができるので、20週後の同曜日から接種ができます。
定期接種に限定して、1回目の接種日を基準に、3回目の接種可能日(いつから接種可能になるのか)は、こちらのサイトで簡単に計算できます。
なお、2回目が遅れて限定しまった場合の3回目のタイミングについては、0歳のうちに終わらせなくてはならないという事情もありますし、かなり例外的なケースなので、接種前にお問い合わせください。(受付ですぐにお答えできないこともあります)

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任意接種の接種スケジュール

定期接種の場合とほぼ同じですが、定期接種と違い、公費負担の対象ではありませんので、多少のスケジュールのずれは医学的には問題ないので、以下の図を参考にしてください。
全部で3回の接種が必要です。接種間隔は少しわかりにくいのですが、

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添付文書上の表記では、すべて1回目からの期間を示していて、2回目が遅れた場合のことなどは考慮していません。
ただ、これも厳密なものではなく、「通常」○週間をあけて・・・という表記になっています。
これをわかりやすくするため、当院では、1回目から2回目は約1ヶ月、2回目から3回目は約5ヶ月というような書き方をしています。
ワクチンの効果の持続期間ですが、10~20年前後と言われていますので、本来は10代の頃に追加接種があるとなお理想的です。

副作用

ほとんどありません。

2つのメーカーのワクチンが使用されています

2種類のワクチン(化血研ビームゲン、MSDヘプタバックス)が使用されていますが、1~3回目で揃える必要はなく、混在しても、有効性、安全性に問題はありません。ワクチンの供給はときに不安定になりますので、メーカーを揃えることは難しい(最近の例では熊本地震の影響)ですが、ご安心ください。四種混合、日本脳炎、MR、インフルエンザなどでも複数のメーカーのワクチンが混在していますが、問題なく使用されています。
横浜市の市民向けパンフレットには、『同じメーカーのもので接種することが望ましい』と書かれてはいますが、厚生労働省の医療機関向けQ&Aにも、根拠になった論文も示した上で、『混在することは問題はない』旨、きちんと記載されています。おそらく横浜市のパンフレットの記載は、以前の考え方の名残が残ってしまっているだけだと思います。例えば、国も麻しん単独ワクチンを受けた後にMR(麻しん・風しん混合)ワクチンを接種するのはNGとしていた頃がありますが、そんなことが続いていたら現在の麻しん対策もできませんし、国民にとって不利益です。誤解を招く記載が残ってしまうのは問題ですが、予防接種行政では、そのようなことは往々にしてありますので、気にしないで、普通にお子さまにとって適切なプランで接種すれば良いと思います。

海外の状況

ほとんどの国で3回接種が定期接種となっています。

料金

定期接種対象の方は無料
定期接種対象以外の方は、全年齢¥4900/回(2017年1月現在)になります。