子宮頸がん予防ワクチンについての追加情報

15歳未満の接種では2回でも効果があるというWHOの推奨があります

HPVワクチンに関するWHOポジションペーパーによりますと、『接種スケジュールは9~14歳では6か月間隔で2回接種、15歳以上および免疫不全者では3回接種(0、1~2月、 6か月)が推奨される。』とされています。14歳以下の少女と、15歳以上の健常者との差異がどこにあるのかは書かれておらず、若年者のほうが免疫の獲得率が良いのか、それとも、若年者は接種スケジュールの前や間に性行為をする可能性が少ないからなのかはわかりません。

接種間隔があいても効果は同等だったという報告があります

接種間隔が延びてしまった場合、ガーダシルでは、通常、初回を0ヶ月とすると、2ヶ月後、6ヶ月後に接種しますが、その間隔が延びても抗体獲得率に差がないという報告があります。

より広範囲の型を予防するワクチンの導入も考えられています

現在、通常使われているガーダシル4というワクチンは、HPVのうち、6型、11型、16型、18型の4つの型に対して感染を予防する4価ワクチンです。このうち、6型、11型は、発がん性はないが尖圭コンジローマの原因になるもので、16、18型の2つの型が子宮頸がんの原因になるものです。子宮頸がんの原因になる型は、16型、18型だけでなく、頻度はそれらに比べて少ないものの31型、33型、45型、52型、58型など約12種類のHPVが原因になります。現在、日本では製造承認がおりてはいませんが、ガーダシル9というワクチンは、6型、11型、16型、18型に加え、31型、33型、45型、52型、58型の予防ができるガーダシル9というワクチンを導入する準備がすすめられています。ただ、そのワクチンの製造承認が下りる可能性や、定期接種に組み込まれる可能性については、メーカーのほうでもわからないとのことです。

これらの情報を総合すると

自治体(当院の場合は横浜市)から委託されて行っている定期接種をしている立場からは、本来申し上げるべきことではありませんが、患者さんご自身の判断をサポートする立場から考えると、合計3回の接種スケジュールを意識的にかえることも可能かもしれません。小6や中1などの若年者が接種する場合、ガーダシル4を初回接種後、2ヶ月ではなく6(~12)ヶ月あけて接種しておき、3回目の接種として、ガーダシル9の情報を待つ(高1までであれば定期接種として無料で接種できる)こともあっても良いかと思います。ただし、本当にガーダシル9の製造承認がおりるのか、ガーダシル4で開始した人に途中でガーダシル9へのスイッチを認めるか(リスクがあるということではなく手続き的に)は行政が決めることなのでわかりません。なお、子宮頸がん予防ワクチンではありませんが、肺炎球菌ワクチンが7価から13価に変更されたときには、7価で開始されたお子様もそのまま13価のワクチンを受けていただけています。