上腕に接種するクリニックの他に、大腿に接種するクリニックがありますが、星川小児クリニックではどのように考えているのですか?

海外では乳児の予防接種は大腿に接種するのが一般的ですので、同時接種の本数が増えている現状では、接種できる部位(面積)を確保する意味からも、大腿に接種する機会は増えてくると思います。しかし、欧米の予防接種の現場の話を聞くと、多くのワクチンを接種して解熱薬を一律に飲ませておくといったこともあるようで、海外のほうが良いと一概には言えないなとも思います。
もうひとつ、大腿接種をすすめる理由として、接種可能本数(面積)のこと以外によく言われることがあります。
大腿に接種すると皮下注射というよりは、筋肉注射に近くなりますが、筋肉注射のほうが効果が高い可能性がある(皮下接種と同等かそれ以上とよく表現されます)ということです。そのため、今後、乳児の予防注射の添付文書のすべてが筋肉注射も認めるような記述に変わると、日本でも、乳児の場合、多くの医療機関で変化してくる可能性もあると思います。
ただ、一般的に筋肉注射のほうが皮下注射より少し痛みがありますので、歩きはじめた幼児以降の年齢になると、やはり上腕に接種するほうが良いかもしれません。
2014年現在は、基本的には上腕に接種し、必要に応じて大腿の接種可能部位も使わせていただく(保護者の希望が大腿接種であれば大腿を第一選択にすることもできますので、ご希望があればおっしゃってください)ようにしています。