小児科のかかりつけ医登録の同意書について
患者さんから、「これからはこちらをかかりつけ医にしたいので、かかりつけ医の同意書の用紙をください」と、言われることがあります。当院では同意書はいただいていませんが、かかりつけ医として一生懸命対応したいと思いますので、その説明をさせていただきます。
健康保険上の小児科のかかりつけ医登録とは
健康保険上の規定では、医療機関の重複受診を防ぎ、医療費の無駄遣いを減らすのを目的に、3歳未満の患者さんを対象に、その方が就学するまで、小児科のかかりつけ医を任意で登録する制度が2016年度から始まりました。ただし、厳密には条件が厳しく、
- 急性疾患を発症した際の対応の仕方や、アトピー性皮膚炎、喘息その他乳幼児期に頻繁にみられる慢性疾患の管理等について、かかりつけ医として療養上必要な 指導及び診療を行うこと。
- 他の保険医療機関と連携の上、患者が受診している医療機関を全て把握するとともに、必要に応じて専門的な医療を要する際の紹介等を行うこと。
- 患者について、健康診査の受診状況及び受診結果を把握するとともに、発達段階に応じた助言・指導を行い、保護者からの健康相談に応じること。
- 患者について、予防接種の実施状況を把握するとともに、予防接種の有効性・安全性に関する指導やスケジュール管理等に関する指導を行うこと。
- 当該診療料を算定する患者からの電話等による緊急の相談等に対しては、原則として当該保険医療機関において、常時対応を行うこと。
というような条件を設定し、患者さんの同意書をいただいて「かかりつけ医」として登録してもらうような制度です。その患者さんの受診に際しては、医療機関が受け取る診療報酬もあがる仕組みです。
しかし、当院では、多くのお子さまに利用していただいているため、「電話を常時受ける」ことは事実上不可能ですし、「患者さんが受診している他の医療機関を全て把握する」ということも患者さんからご相談がなければできないと思いますし、全てを把握して記録する必要があるかというとそれも疑問です。また、横浜市では1歳以上の方で自己負担金(2割)のある方も多く、かかりつけ医制度を運用すると、窓口での支払いがかえって増えてしまう方も出てきてしまうので、当院ではこの制度の目的は理解してはいますが、かかりつけ医としての同意書をいただいて運用することは今のところしていません。
しかし、かかりつけ医として療養上必要な指導及び診療は以前からさせていただいていますし、乳幼児健診も、予防接種も、かかりつけ医としてきちんとさせていただいています。また、診療時間中でしたら、看護師も電話対応をしていますので、医師が直接対応している医療機関よりもむしろ電話での対応はきめ細かくできていると自負しています。
また、その日に対応できるわけではありませんが、「
ナースによるメール相談」もあります。
本来、患者さんと医療機関との関係においては、患者さんをこのような制度の力で縛るのは好ましくないと思いますし、横浜市では上記のような理由もあるためか、この制度を採用している小児科は多くはないようです。
しかし、かかりつけの小児科と思って当院を利用してくださる患者さんに対しては、同意書など形式的なものがなくても、星川小児クリニックは、医師、看護師、スタッフ一同、精一杯がんばって貢献してゆきます。どこかに登録しないとご不安という方も、この点をご理解の上、かかりつけの小児科としてご利用くださいますようにお願いします。
よくある質問
かかりつけ医登録は必ずしなくてもよいのですか?
- はい。登録をお願いしているクリニックでも登録は任意ですし、前述のように登録をお願いしていないクリニックのほうがのが多いと思います。
他のクリニックでかかりつけ医登録をしてしまったのですが、星川小児クリニックにかかりつけを変更するにあたり何か手続きは必要ですか?
- 特に必要ありません。確かに二重に登録して、同じ月に両方の医療機関を利用すると、健康保険上トラブルが起こるそうですが、以前のかかりつけの先生にそのようなことをご連絡するのも難しいと思いますし、そのままにしておいて全くかまいません。
かかりつけ医登録をしたクリニックに、診療、予防接種、健診などに行かなくてはならないのですか?
- 患者さん側にそのような縛りはありません。お子さまに一番良いと思われるホームドクターを選んでください。当院をかかりつけ医にしていただくときには同意書などの手続きはいりません。