アレルギー性鼻炎・花粉症 (舌下免疫療法はここをクリック)
アレルギー性鼻炎は、小学生以上ぐらいからとても多くみられる病気です。しかし、意外にしっかり治療していない子も多いものです。毎日箱ティッシュを1箱使って、それが普通になっているような子どももいます。確かに、すぐに治るわけでもないし、通院が面倒だし、鼻水をとめる薬を出してもらうだけでしょう?というイメージがあるのではないかとも思います。
しかし、何回か通院して、コントロールの仕方、治し方(といっても良いこともあります)を学んでいただくと、「今までその場しのぎでいたけれど、嘘みたいに良くなった」と、言っていただけることもあるくらいです。1回の診療で良くなる病気ではありませんが、アレルギー性鼻炎を良くしたいということでしたら、一度相談にいらっしゃいませんか?
舌下免疫療法もとても役立つ治療です。それについてももちろん説明いたします。
気管支ぜんそくの仲間の気道のアレルギー
気管支ぜんそくと、アレルギー性鼻炎は密接に関係があります。ONE ATRWAY ONE DESEASE という言葉があります。「1つの気道なのだから1つの病気だ」という意味です。
当院では小児アレルギー科として、気管支ぜんそくを主に診療の対象にしていますが、実はそれ以上にアレルギー性鼻炎の人が多いです。というよりも、子どもの主なアレルゲンであるダニアレルギーの場合、ぜんそくには困っているけれど、鼻炎はないというようなことはほとんどないからです。また、ぜんそくが良くなって来ても、小学生、中学生になっても、鼻アレルギーだけは残ってしまいやすいのです。ですから、幼児のぜんそくを診療しているうちに、そちらは徐々に良くなってきたけれど、アレルギー性鼻炎が残ってしまうということがよくあります。当院では、ぜんそくの診療時にも、「鼻の具合はどうですか?」と、よく聞くようにしていますが、ぜんそくがさほどでもなかった子どもの場合、受診の機会があまりないため、意外にそのままになっていることもあるのです。
ぜんそくで悩んでいた子も、そうでなかった子も、鼻呼吸が楽にできるようになることは、とっても大切なことです。
薬物療法
もちろん薬物療法は大切な治療の柱です。でも、鼻水が垂れるから抗ヒスタミン薬をずっと服用していれば良いというものでもありません。病態の中心は鼻粘膜のアレルギー性炎症ですから、症状が続く場合には、治療の中心になる、鼻粘膜の炎症を抑制する吸入ステロイド薬も上手に使わないとうまくいきません。しかし、鼻汁が多すぎるとせっかくの薬も届かない(あ、そうかとここで気付く?)・・・というジレンマがあります。その他、抗ロイコトリエン薬、血管収縮薬も、有効に使いたい薬です。漢方薬を試してみたい方には、有効性がダブルブラインドテストで科学的に確認されている薬もあります。また免疫療法も最初から急ぐことはないですが、アレルギーそのものを抑える意味でとても大切です。
当院では、いわば薬物療法のコツをお教えしながら、生活の質を良くしていくところからはじめます。
環境整備
ところで、スギアレルギー(花粉症)によるアレルギー性鼻炎だったら、海外あるいは北海道の函館よりも北にいけば、全くといっていいほど症状が止まる・・・というのは当たり前ですね。府中刑務所から網走刑務所に移送されたらとっても快適になった、感謝してます!という服役囚の皆さんの話もよく聞きます(嘘)。アレルゲン(原因抗原)さえなければ、アレルギー反応が起こりません。ダニアレルギーが主病因でしたら、乾燥した気候の海外にいくとダニ自体が生息しにくいので、アレルギー性鼻炎も喘息もピタッととまります。
ダニアレルギーの場合はスギ花粉と違って、家の中の埃(ハウスダスト)の中にあるダニの死骸(生きているダニは大きいので床に落ちてしまいますが、死骸は小さくて軽いので部屋の中の埃になります)が主な原因ですから、家の環境次第でものすごく違います。
ダニは高温多湿で繁殖し、低温乾燥で死んでしまいますが、その境目は気温20℃湿度50%。秋になると死骸がふえるので、例えば同じ布団を使っていたとしても、急にその布団が原因になったりします。布張りのソファやエアコンの中に溜まってしまった埃も、ただの埃ではなく、ダニの死骸をたくさん含んだアレルゲンの塊になってしまいます。
スギ花粉症の場合は「春に外から」、ダニアレルギーの場合は「秋に家の中から」です。
ただ、家の埃は対策をしないと、その埃は1年中残りますから、スギ花粉対策以上に、環境整備がキーワードになります。
でも、ただ「お掃除がんばってください」では効果的な環境整備はできないので、ノウハウを少しずつお教えできたらと思います。
気管支ぜんそくもダニアレルギーが大きな原因になるので、共通する部分がとても多いので、たくさんお話ができると思います。
鼻洗や鼻汁を軟化させる工夫
これは薬物療法ではありませんが、ものすごくよく効きます。たまっている鼻汁を掃除したり、アレルゲンを外に出してしまうのですから、効くのは当然ですね。でも、なかなかとっつきにくいです。年齢やその子の性格にも合わせた方法を試してみると良いと思います。
特に、年長児~成人になると、副鼻腔炎を併発することがありますが、そのような方には特におすすめします。
当院でよくご紹介する、サイナスミスト、サイナスリンスなどの説明は
こちらをクリックするとメーカーのサイトにジャンプします。(宣伝しているわけではありませんが(笑))Amazonなどで購入していただくことになります。
舌下免疫療法
現在、スギ花粉とダニ(ハウスダスト)の免疫療法を行っています。アレルギーを抑えるのではなく治すというイメージです。例えば卵を食べるとじんましんがでるというお子さんが、少しずつ卵を食べていくと、結局は普通に食べられるようになることは以前から知られた現象でしたが、スギ花粉やダニ(ハウスダスト)のような飛散アレルゲンを食べて治すといえば何となくわかっていただけると思います。
アレルゲンを体に入れるわけですから、安全に行わなくてはなりませんが、そんなに危険な治療ではありません。ときどきこちらからもおすすめしていますが、約3年ぐらい続ける必要があるので、よくご説明してから行います。月1回の受診が必要になりますが、効果があるせいか脱落する方はとても少ない印象です。
舌下免疫療法について詳しいことは、
別のページでご紹介します。
当院の受診について
アレルギー性鼻炎について相談したいなあと思ったときは、最初はアレルギー専門医のいる時間帯を選んでいただければありがたいです。わからないときは、受付にご相談ください。「相談したいのでいらしたこと、より詳しい説明を聞きたいこと」を強調して予診のナースや医師に伝えてください。上述のようにさまざまなカテゴリがありますから、順を追って説明し、ご理解をいただきながら、QOLの高い日常生活ができるようにご説明したいと思います。