番外編.

打楽器の王様



入部した時に一番新鮮に感じたことって何だっただろう。
ある日、ふと考えてみた。

年上の人を先輩と呼ぶこと?
先輩に敬語を使うこと?
たくさんの楽器があったこと?
楽器がとっても大きかったこと?
楽器の音が大きかったこと?
70人もの部員がいること?

何もかもが新鮮だった。
いや・・・

楽器の難易度や、出番の量によって楽器の担当が学年ごとに違ってくること。
これが一番新鮮に感じたことだった。
このように楽器をきめるのは考えてみれば当たり前のことだ。けれども、なぜか強烈に新鮮に感じた。
なぜだろう?

小学校時代を思い出してみる。
私は四、五年の時に音楽クラブに入っていた。
いつも大活躍で、大変だけれど楽しいクラブだった。
このクラブでの楽器の配当の仕方はジャンケンだった。これが公平、当たり前。
当然、皆派手で(ここで言う「派手」は音が大きいモノ)簡単なモノを選ぶ。最後に残るのは、必ずピアノだった。
一番人気はドラムだった。
順位付けをしてみると・・・

1、ドラム
2、木琴(ハードマレット使用)
3、マラカスなどの小物類(殆ど不使用)
4、小太鼓・中太鼓
5、大太鼓
6、キーボード(高音)
7、キーボード(低音)
8、キーボード(中音)
9、シンバル(殆ど不使用)
最下位、ピアノ

こんな感じだっただろうか?もうはるか昔の事なので正確には覚えていない。

それでは中学校ではどうだろう?

(例:コンクール)

1、スネアドラム(ずっと出番)、ティンパニー(ずっと出番)
2、バスドラム(ほとんどずっと出番)小物類・難(技術や経験、知識を必要とするもの)鍵盤楽器・難(よく目立ち、難しい)
3、小物類・易、鍵盤楽器・易(出番少なめ)

おーーーーーーーーーまかにいうとこんな感じである。(特殊な場合を除いて)
ここで注目して頂きたいのは、難易度と出番の多さである。
小学校の時は、難易度・易&音量大が上位だった。
しかし、中学校の場合は、難易度・難&出番多めが上位を占めている。

楽器の王様が違うことと、楽器の決め方が、演奏が良くなるように配慮されていて全く違っていることが新鮮に感じさせたのだろう。
この楽器の決め方には、とっても感動した。
なぜかって?
部の人全員が、自分達の演奏が良くなるようにとひたすら工夫しているということが表れていたからだ。
みんなで良い音楽を作っていくんだ、そう思うと気持ちがウズウズした。

ほけーッとこんな事を基礎練用の机を前に座って考えていたら、頭上から先輩の声がふってきた。
「ほら、もう楽器練の時間だよ。コンクールのグロッケン、あの難しいとこ大丈夫なの?」

4、鍵盤楽器・易・・・か。

私にとっては、まだまだ

4、鍵盤楽器・超難・・・の様である。