薬が1日分しかだされないワケは?
救急外来の目的はあくまでも応急処置・普通の治療はやっぱりかかりつけで
今までお話ししてきたように、夜間や休日の救急医療は、かかりつけ医が担当する普通の診療ではありません。とりあえずの応急処置をするための外来です。薬をだすとしても、原則として1日分というところが多いです。通常、「翌日にはかかりつけ医を受診してください」と担当医からお話しします。
「いつものかかりつけ医と同じように、3日分とか長めに薬を処方してくれればいいのに」と、思ってしまいがちですが、応急処置と考えれば納得できますよね。決して意地悪しているわけではありません。翌日、救急外来に急ぐタイミングはこれでよかったかどうかも含め、かかりつけ医の意見も聞いておきましょう。救急外来の担当医の説明や、出された薬についても伝えてください。
救急外来の診療室で「ついでに、おむつかぶれの薬もだしてください」とおっしゃる患者さんもいますが、それはやっぱり普通の診療時間に相談してくださいね。
それでもやっぱり1日分というのは不便じゃない?
お母さん「救急外来に行ったら1日分しか薬をくれなくて、明日かかりつけ医に行くように言われたんですが、なんで救急外来は1日分なんですか? 二度手間だし不便だと思うんですけれど・・・」
Ns.「そうですねえ、でも、救急外来の役割はあくまでも、かかりつけの小児科を受診するまでのつなぎなので・・・」
お母さん「でも、救急外来1回で済むような病気だったら、薬さえ何日分かくれれば・・・」
Dr.「お気持ちはわかるんですが、もし普通の時間帯と同じ機能を救急外来に求めるとすれば、それは救急外来ではなくて夜間休日の普通の診療所になってしまいますよね。それだけの需要を埋めるだけの小児科医はいません。重症な患者さんへの対応は24時間待ったなしですが、普通の患者さんに対しては、基幹病院も含めて、みんなが働く時間帯に効率的に診療しているわけなのです。ちょっと意地悪のように思うかもしれないけれど、普通の病気で救急外来に行っても1日分しかお薬はださず、明日かかりつけ医にみてもらうまでのつなぎ役に徹するということも、地域医療全体の機能を保つためには必要なことでもあるんです。それに、かかりつけでない患者さんに何日分も薬をだしてその後のフォローができないのも救急外来の担当医としては心配なものなんですよ。」
Ns.「これからの救急外来ではむしろ、薬をだすださないというより、明日までのホームケアのアドバイスをしてくれるといいですね。」
Dr.「そうだね。そういうことができれば、次に同じようなことがあってもあわてないで済むようになるね。」