救急外来にはリピーターが多い
救急外来の先生にはいつもお世話になっています。先日もおかげさまですぐに良くなりました……は早合点
救急外来には結構リピーターの方が多いです。平日昼間にどうしても受診できないような事情があるのかなあと思ったりもするのですが、実はそうでもない人がほとんどです。
それはおそらくこんなことじゃないでしょうか。たとえば、夜に熱が出て救急外来を受診したことがあり、そのときお薬を出してもらって、朝には熱が下がっていた。なので、こんど熱が出たときも早く救急外来に行って薬を飲ませなくては……と思ってしまう。
でも、よく考えてみると、何もしなくても朝には熱が下がっているということは日常茶飯事。小児のかぜのほとんどがウイルス性疾患であることを思い出してみてください。特効薬があるわけでもありません。お薬のおかげで病気が早く治ったわけではないのに、ついそう思ってしまい、一刻も早く! と救急外来に走ってしまうのです。
救急外来でその種明かしをしてあげると、「なぁ〜んだ、そんなに急いで毎回来る必要ないんですね」ってお薬無しで満足して帰られる患者さんも多いです。
最初はこんな救急外来の使い方はどう?
Dr.「救急外来に来る多くの患者さんは、何か薬が欲しい、何か処置をしてほしいと感じているから、何も言われなくてもこちらは、何か薬をだしてあげなきゃと思ってしまうんだよね。『今は薬はいらないと思いますよ』って言ったら患者さんがいきなり怒りだしちゃった、なんて経験は小児科医なら誰でもあるし、プレッシャーを感じてるのかも・・・(笑)」
Ns.「トラブルを避けるために本当は必要ない薬をだされてしまうっていうのは、残念ですよね。ここまでこの本を読まれた方なら、救急外来に行く目的は、「急いだ方がいい大きな病気を見逃さないこと」で、「必ずしも薬が欲しくて行くのではない」と思ってくださるとは思いますけど・・・。」
Dr.「でも、多くの患者さんの中にごく一部そういう意識の人が混ざっていても、たいてい初対面だし、気づくのは難しいよ。」
Ns.「そうですかぁ。でも、例えば患者さんがこんなふうにお話できたらいいのでは・・・。『きょうの症状は、熱と嘔吐が1回ですし、水分もなんとかとれているようなのですが、まだ経験が少ないので、このくらいだと明日まで待って良いものなのか、あるいはどんなことに注意して家庭で診ていたらいいのかを教えてもらいたくて来ました。もしこのくらいだったら救急外来に来なくて大丈夫ということなら、次回から少し自信をもって家でみることができそうなのですが・・・』」とか。」
Dr.「そうだね。そんなふうに切り出してもらえたら、救急外来のドクターも患者さんが来た目的がよくわかるよね。」
Ns.「お母さん方にとっても、薬よりも安心と自信をもらって帰っていただくほうがいいですよね。もちろん翌日、かかりつけの小児科を受診して、再確認をしていただくことは必要ですけど。」