BCG・MRワクチン(1期、2期)・二種混合ワクチンを接種対象年齢に受けそこなった方へ
2013年4月より、横浜市では、BCG・MRワクチン(1期、2期)・二種混合ワクチンを接種対象年齢に受けそこなった方に対し、例外的な対応として、以下の表の基準により、無料で受けられるように配慮しているそうです。該当の方は居住区の区役所健康づくり課にご相談の上、「予防接種実施依頼書」を発行してもらってから当院においでください。(その日にすぐに発行してもらえないことがありますのでご了解の上おいでください)
なお、このルールはあくまでも例外的なもので、市民の皆さまには特別な理由がない限り、接種対象年齢を守ってくださるようにお願いします。
ただし、BCG接種については、事前にツベルクリン反応の検査を実施するかしないかの判断が微妙です。横浜市のこの制度ではツベルクリン反応の検査を実施することは想定していない(国にも照会済だそうです)そうなので、事前にツベルクリン反応検査をご希望とのお申し出の無い患者さんには、横浜市からの接種依頼でもあるので、ツベルクリン反応検査をすることなくBCGの接種をしますが、特に2〜3歳以上の場合は検査をしてからBCGを実施するべきなのかもしれません。また、ある程度年齢が高くなってからのBCGは接種する意義がないという考え方もあります。詳しいことは下の★を参照してください。
また、これらの接種対象年齢が過ぎてしまった場合の接種は「定期接種ではなく任意接種」となります。重大な副反応がでたときの補償に制度上の違いがありますので、ご了承ください。
接種対象年齢をすぎても横浜市民であれば無料での接種が可能かどうかの基準
接種対象年齢(定期接種として受けられる年齢) | 接種対象年齢が過ぎてしまった場合でも対応可能な期間 | |
BCG | 生後1歳未満 | 4歳未満(必ず下の★をお読みください) |
MR1期 | 生後12ヶ月〜24ヶ月未満 | 幼稚園保育園の年中組の3月31日まで |
MR2期 | 幼稚園保育園年長組の4月1日〜3月31日 | 小学校の6年間のうちは無料で接種できるように配慮してもらえる |
二種混合 | 11歳〜13歳未満 | 15歳未満までは接種できるように配慮してもらえる |
★1歳を過ぎてからBCGを接種する前にツベルクリン反応をするべきかどうか、またBCGをするべきかどうか
以前はBCGは生後6ヶ月未満に接種すると決められていました。ツベルクリン反応は結核にすでにかかっているかどうかを検査する皮内テストですが、生後6ヶ月未満ではほとんど結核菌が入ってはいないと考えられるため、最近ではツベルクリン反応の検査は省略してよいことになっていました。しかし、生後6ヶ月以降については、例えば、結核予防会の案内のサイトをみても、「生後6ヶ月以後の乳幼児にたいしてはツベルクリン反応検査を行なってからBCGを接種するのが一般的です。」(2013年5月現在の宮城県結核予防会のサイトから引用)とも書かれています。しかし、2013年4月以降は推奨接種月齢が生後5〜8ヶ月、1歳未満であれば定期接種となりましたが、ツベルクリン反応の検査については不要とされていますので、生後1歳以上の幼児にたいしては・・・と読み替えてもよいでしょう。
それでは、結核菌にすでに感染している(ツベルクリン反応をすれば陽性)のに、それをせずにBCGをしてしまったらどんなことが起こるのでしょうか。実は、それは乳児のBCGでも稀にあることなのですが、コッホ現象といってBCG接種部位が早期から赤くジクジクしてくる現象があります。おそらく1歳、2歳と年齢が高くなるにつれ、結核菌にすでに感染している(発症していなくても)確率は高くなり、ツベルクリン反応をしたとすれば陽性で、そのままBCGを接種した場合にはコッホ現象が起こることが予想されるわけです。一方で、BCGは乳幼児の重症結核の予防には有効であることはわかっていますが、年長児の結核の予防については必ずしも有効であるとは言われていません。このため、ある程度年長になった児でBCG接種歴がない場合は、あえて接種しないという選択肢もあります。結核の患者さんがあまりいない国ではBCG接種を通常はしていないところもあります。例えばアメリカでは乳幼児にたいしてBCG接種を行ないません。日本では今のところまだ結核の患者さんも世界の中では多く、乳児のBCGを積極的に行っている状況なので、1歳を過ぎてしまったからといって、BCGをしなくて良いとも自信を持ってはいえません。横浜市からの「予防接種実施依頼書」もあるので、「接種する」として考えますと、1歳以上〜4歳未満の場合、
というくらいが、現実的におすすめできる対応ではないかと思います。もちろん区役所にもマニュアルがあると思うので、ご相談いただいても良いと思います。横浜市からの委託事業ですので、横浜市の方針があれば、それに従ってもよいと思います。ただ、区役所に聞いても、「医師に相談してください」と言われてしまうかもしれません。
なお、ツベルクリン反応検査は公費負担ではありませんので、¥3000がかかります。また、検査薬は常に在庫しているわけではないので、ご希望の方は事前にお電話で在庫の確認をお願いします。また、ツベルクリン反応は翌々日が判定日になるので、翌々日にも来院できる日を選んで検査を受けてください。BCGはいずれにしても受付に直接またはお電話での予約になりますので、日程についてもご相談ください。