水ぼうそう・おたふくかぜの2回目の接種について

2014.9.24改訂


最近、水ぼうそう・おたふくかぜの2回目の接種はしたほうが良いかという質問を受けることがあります。当院では以前からお配りしているパンフレットなどで、2回接種についてのご案内をしていますが、日本小児科学会や、VPDの会でも、推奨するようになったことも背景にあるのではないかと思います。下表は日本小児科学会、VPDの会の推奨パターンです。

  日本小児科学会 VPDの会
水ぼうそう 1回目は1歳を過ぎたら早期に接種。2回目は1回目から3ヶ月以上あけて2歳未満までに。 1回目は1歳を過ぎたら早期に接種。2回目は1回目から約3ヶ月後に接種。(2014年10月〜は、2回目は3ヶ月以上あけて2歳未満までにに変更)
おたふくかぜ 1回目は1歳を過ぎたら早期に接種。2回目は5歳以上7歳未満で接種することが望ましい。 1回目は1歳を過ぎたら早期に接種。2回目は3歳以上6歳未満で接種することが望ましい。(2014年10月〜は2回目は3歳以上7歳未満に変更)

※2014年10月から水痘ワクチンが定期化されました。

どちらが良いというわけではないし、また他にも考え方があると思いますので、以下に解説をしてみます。

保育園などを休まないで済むように、「かからない」が目的なら

定期接種化前は、水ぼうそうにしても、おたふくかせにしても、初回の接種から4週間あけたら早めに2回目の接種を推奨する先生もいらっしゃいました。保育園での流行が気になり、とにかくかからないようにしたいならば、100%の効果ではありません4週間あければ接種できるので、4週間したら2回目の接種を受けるということも確かに意味があると思います。ただ、水痘の定期接種は、3ヶ月あけないと無料で2回目の接種ができないので、最短3ヶ月あけて早めに2回目の接種をするということで良いと思います。おたふくかぜはもう少し間隔をあけることを学会などでは推奨しています。おそらく効果を長く持続することを優先しているのだと思います。

受験期など大切な時期にかからないようにしたいのなら

1回接種をした後は、確かに自然にかかってしまう確率もかなりあるのはわかっているけれど、そのまま2回目は受けずにいるのも、日本では、今までは1回接種の人がほとんどだったのですから、おかしいとはいえないと思います。受験期など大切な時期にかからないようにするのが目的ならば、その2〜3ヶ月前に接種して抗体価をあげておくというのも良いかもしれません。ただ、この考え方も、2回目接種を、例えば水ぼうそうの場合、1回目から3ヶ月で接種したとしても、その後まず罹患することがないなら、あえて遅らせる必要はないはずです。このことは、まだ国内で2回接種した事例が多くなく、その人が10年以上たってからどの程度の免疫を持っているかがわからないので何ともいえません。外国の事例があるのではないかと言われるかもしれませんが、先進国ではほとんどの子どもが2回接種を受けているので、社会全体に水ぼうそうやおたふくかぜが少ないので、日本とは全く環境が違うので、参考にならないのです。

2回受けなくてはいけないのでしょうか?

前述の説明はもし2回するとしたらいつやったらいいのかという質問に対する答という意味で書きました。確かに先進国ではどちらの予防接種も定期接種で2回接種が普通なのですが、日本では今でも接種していないという子がたくさんいます。つまり感染するチャンスは先進国の比ではありません。その環境の中で2回接種をすれば感染を本当に免れるのかどうかは実はあまりよくわかりません。むしろ1回だけ接種としてその感染機会の多さを逆手にとり、それを2回目接種のような意味でブースターとしてとらえることも間違いとはいえないと思います。ただ、麻疹や風疹の予防接種と違い、1回接種だと接種しても感染してしまう子がかなりいることは事実ですし、接種しておけば必ず軽症になるかというと絶対的なことはやはり言えません。もちろん定期接種化(無料化)されたときは全員が接種するということで社会全体を守る意味でも1回または2回を必ず受けていただくようにするべきですが、そうなるまでにはもう少し時間がかかりそうです。