| 電子カルテについて | |
| なぜ星川小児クリニックでは電子カルテを使わないのか |
最近は紙のカルテをやめ、電子カルテにするところが徐々に増えてきています。
よく、「星川小児クリニックは、インターネットも活用しているし、当然電子カルテにしているでしょ?」と仲間の先生たちから聞かれることがあります。
でも、当分、電子カルテにするつもりはありません。
当院では、ナースが予診をし、診察に一緒にいて、処置や検査もして、そして診察後ナースが再度確認・・・というようなスタイルをとっています。そのため、当院には診察室が3つあるのですが、予診をしたり、再確認の説明をしたり・・・となると、3つの部屋ではとても足りませんし、合計すればひとり当たりの時間も長くなるので、お子さんがは飽きてしまい、待合室に移動して遊ばせながらお話しをしたりすることもしばしばです。
ナースが電子カルテを持って、お子さんを追いかけて(笑)お話しするのは不可能です。
当院が実践している方法で、ナースの力を最大限に活用する診療スタイルをとるのであれば、電子カルテを「紙」と同じように持ち運ぶことができなければ、「当院においては」電子カルテは、デメリットのほうが多いのです。
でも、「診療の記録を患者さんにプリントアウトしてあげることができるのは良いことではないか」と確かに思うでしょう。ですが、小児科外来において患者さんが求めているのは「診療の記録(所見)」ではなく、「診療の記憶」なんじゃないかな〜と思うのです。(これは実感・・・新庄選手みたいだけど)
処方した薬の控えだったら、薬局でもらえますし、患者さんからインタビューしたことは患者さんがご存じなわけだし、その他のことと言えば、熱があったかなかったか、喉が赤いか赤くないか・・・そんなことよりも、「きょうは、役に立ったなあ・・・」「安心したなあ・・・」「納得したなあ・・・」 できれば、「楽しかったなあ」「面白かったなあ」と思っていただけるようなトーク(説明)ができたかどうか(医師だけでなくナースも)のほうが実は大切です。患者さんとの「会話」をカルテに記録しているわけじゃないし・・・ですから、ディスプレイを見ながら電子カルテに打ち込むことより、患者さんと目を合わせながら会話するほうがずっと大事なんです。なので、診療の記録を毎回プリントアウトしてさしあげることはできませんが、どっちをとる?どちらを見る?と言われれば、迷わず、ディスプレイではなく、患者さんということです。それに、患者さんに本当にプリントしてお渡ししたいような内容は今でもさまざまな印刷物として用意してあったり、ナースがメモをその場で作ったりしています。そしてその都度、丁寧に説明しながらお渡ししています。患者さんが本当に欲しいのは(というか僕らも伝えたいのは)どちらのプリントなのでしょう・・・
だから、星川小児クリニックでは電子カルテを使いません。
窓口で・・・
「おばあちゃんのいつもの薬お願いします」
「はい、2週間分ね、お大事に・・・」
・・・もう本人1年来てないなあ(笑)・・・
というような診療?していれば電子カルテは便利でしょうけれど・・・
電子カルテを使っていれば、先進的なクリニック・・・とは必ずしも言えないな・・・と、思います。
当院の子育て中のナースの言葉です。「地元(当院のナースは遠距離通勤が多い)で○○小児科にかかったんだけど、先生は電子カルテのほうばかり見てて嫌だった・・・」
電子カルテの普及で医療が得るものもあるでしょうけれど、きっと失われていくものも多いのだと思います。
実は、僕も、ずいぶん電子カルテを見に行きました。
それなりに進化しているなとは思います。
でも、医療の現場で大切なのは、カルテ、診療の記録などを通したコミュニケーション(裁判では大事だけど)というよりは、心と心の直接のコミュニケーションのほうじゃないかなと思います。
そう思うと、そのことに対する心配がなくなってからでないと、電子カルテは使いたくないなと思います。